大田黒家改修工事
熊本地震により被害を受けた邸宅の改修工事です。建築は江戸末期、熊本藩の在御家人の旧宅とされています。改修後に登録文化財に登録されました。主な工事内容は、下記のとおりです。
- 土壁の補修
- 古い厠の保存修理
- 欄間絵の保存修理
- 貼付け壁の貼り替え
当初から登録文化財に登録予定でしたので、既存復旧を前提に考えました。
古い厠は現在は使用していませんが、古い便器や便槽、汲取口、朱塗りの跡など古い形で残っていましたので、そのまま保存しようということになりました。
欄間絵は幕末に活躍した絵師「衛藤弄月斎」の作であるということで、文化的価値も高く保存修理することになりました。
貼付け壁は現代風に言えば和紙クロス張りですが、下地作り方が今と違ってます。木で格子状に組んだ下地に和紙を幾重にも貼り重ねた上に、仕上げに鳥の子和紙に金砂子を振った豪華な仕様です。今回は予算的に完全復元は難しいので、既存の貼付け壁にベニヤを上張りし、そのベニヤに下張り和紙を貼り、鳥の子無地の仕上げ貼りとしています。将来的に、既存貼付け壁を復旧できるようにしました。