吉村家道具蔵改修工事
熊本地震で被害を受けた全壊状態の蔵を改修する工事である。この蔵は瑞鷹株式会社創業時の酒蔵で明治2年に建築された。現在は創業家の吉村氏宅の家財道具を納める蔵として利用されている。
登録文化財の申請を視野に入れて、古式に則って改修を行った。半解体修理とし、屋根は目板瓦を再利用している。壁は竹小舞を組み直し、土壁下地に漆喰仕上げとした。解体の際、黒漆喰に白漆喰を塗り重ねた痕跡があることや、敷地内の築造年が近い蔵が黒漆喰ということから黒漆喰で仕上げ塗りをした。改造により一部、開口部に変更されていて構造的に弱く、1/20ほど傾斜していたので、建て起こし後に当初の状態に戻した。柱脚を固定する根搦み等の部材がない状態だったので、補強として室内側に地長押を追加して補強している。限界耐力計算にて構造的に問題ないと確認した。